プライバシーポリシーサイトマップ
トップページへ匠の紹介伝統工芸豆知識えどコレ店長瓦版お問合せ会社概要
山口敦雄インタビュー

漆塗りの技術は、中国から日本へ伝わったと一般にいわれている。だが、独自の発展を遂げ、蒔絵(まきえ)に象徴される日本固有の美となった。その証拠に漆器のことを、英語では、「ジャパン(Japan)」という。山口敦雄さんは、東京で数少なくなった漆専門の塗師だ。本来は、茶道具や華道具の塗りが主な仕事だが、特注品作りで培った技術を生かし、見る者をあっと驚かせる、新たな商品開発に余念がない。

――江戸漆器の特徴を教えてください。
「漆器は、もともと京都を中心として作られていました。東京で漆器が作られるようになったのは、徳川家康が江戸に幕府を置き、職人を連れてきてからです。よくいわれるように京都は公家(くげ)文化、江戸は武家文化です。京都の漆器は、蒔絵でもってきらびやかに仕上げますが、江戸の漆器は、松葉を1本、ポンと描くだけ。着物に例えると、裏地にだけ凝るという感覚です。とにかく粋にやれというのが、江戸漆器のスタイルですね」

――20代のときに先代が亡くなられた。
「私が弟子入りしたのは、中学を出てすぐです。その7年後、22歳のときに親父が亡くなってしまいました。それまではずっと下地付けをやらされていましたから、漆塗りは素人同然でした。そこで、自分で塗った漆を入院中の父に見せ、出来を見てもらってから問屋さんに持っていくわけです。すると、『汚ねぇ』とか『値段なんてつけられない』といわれる。その問屋さんは、怖いけど、いい人でした。ほかの職人が作ったものを見せて、『山口くん、ほら、こっちのほうがずっときれいでしょう。ここまでのものが作れたら、同じ値段を払うよ』という。職人にとっては恥だけど、励みにもなりました」

――ほとんど独学で技を習得されたわけですね。
「そうです。同業者は、どこで漆を買うかくらいは教えてくれますが、技術的なことは一切教えてくれません。門前の小僧じゃないけど、親父がやっていたことを思い出しながら、何十、何百回くりかえし練習しました」


――漆塗りで難しいことは。
「朱色を出すことです。朱色は乾く早さによって色が変わります。早く乾くと、茶色になり、ゆっくり乾かすと柔らかい朱色になる。ですから、今日は晴れ、明日は雨だと、色が変わってしまいます。どんな朱色がよいか、職人によって解釈は違いますが、私はどぎつい赤はあまり好きじゃありません」

――漆器作りは、分業が当たり前の世界です。
「地方の産地では細かく工程が細分化されていますが、東京では、木地屋と塗り師、蒔絵師が別にいるくらいで、研ぎや磨きは自分でやっています。一人の職人が手がける幅が広いせいか、特注品や一点物の仕事が多いですね」

――なぜ、茶道具を作るように。
「親父は道具塗り師といって、複雑な形のものにも漆を塗れる職人でした。それで、茶道具や華道具を扱っている東京の問屋さんを同業者が紹介してくれました。最初は修理の仕事が主でしたが、そのうち、茶道の家元から特注品の注文が入るようになりました。自分の道具がどう使われているか知りたいと思い、茶道を2年間習ったこともあります。ところが、30歳をすぎて、その問屋さんもつぶれてしまいました」



――それでも生き残ってこられた。
「『作介』という号のおかげです。親父が作ったものは全部、作介という判が押してありました。小売店に営業に行くと、『おたくがそうなの。なんかあったら仕事回すよ』という感じで、少しずつ注文が入るようになりました。手抜きをしない、親父の仕事が皆さんに信頼されていたのです」

――デザイナーの卵たちと、積極的に商品開発をされています。
「漆器は日用品です。でも、生活スタイルが変化して、漆器を使う機会が減ってしまいました。それならばと、文具やパソコン用品など、身近に使うものにも漆塗りを施しています。コストを下げるため、多少ラフな仕上げになりますが、漆は必ず本物を使う。これからの時代は、茶道の先生たちのように、本物を求める消費者が増えてくると思っています」

――木材以外にも漆は塗れるのですか。
「漆は長い間、木に塗るものとされてきました。ですが、プラスチックやステンレスにも実は、漆を塗ることができます。問題は耐久性です。木に塗ったものは、正倉院に残っている漆器のように、何百年も持つことがわかっています。樹脂に塗った漆が何百年持つか、まだわかりませんが、最近になってやってもいいかなと思えるようになりました。本物の漆塗りのよさを伝えていくために、今後は異業種の人たちとも積極的に仕事をしていきたいですね」

写真:岡村靖子 構成:菅村大全

やまぐち・あつお/

昭和28年 墨田区生まれ。
16才より漆工芸を始める。
4代目 号:作介(2代目)。
昭和58年 江戸川区伝統工芸会会員。
各種受賞し現在に至る。


山口敦雄 代表作
コースター-まる(5個セット)
コースター-しかく(5個セット)

漆がもつ艶のある光沢を活かしたコースターです。
食卓を華やかに演出してくれます。
山口さんの熟練のうるしの技術と美大生(多摩美術大学 松本 卓也さん)の新たな感性から生まれた作品です。
硯箱 (すずりばこ)
硯箱 (すずりばこ)
 
硯箱 (すずりばこ)
ピアス 風車
アクセサリー
ピアス 風車
ピアス 風車
ピアス おりづる
アクセサリー
ピアス おりづる
涼
箸置き あやとり
箸置き あやとり
 
箸置き あやとり 

.

山口敦雄の作品を購入する
山口敦雄についてのお問合せ

えどコレマイスタートップへ

新井克己インタビューページへ
石井恒夫インタビューページへ
一ノ谷禎一インタビューページへ
奥田禄郎インタビューページへ
草薙惠子インタビューページへ
後藤明良インタビューページへ
笹谷義則インタビューページへ
篠原儀治インタビューページへ
篠原由香利インタビューページへ
高橋栄一インタビューページへ
高橋英雄インタビューページへ
田中松夫インタビューページへ
中村弘子インタビューページへ
新倉綾子インタビューページへ
八角仁代インタビューページへ
林理子インタビューページへ
林信弘インタビューページへ
深野晃正インタビューページへ
松井宏インタビューページへ
山川英インタビューページへ
山口敦雄インタビューページへ
山富繁子インタビューページへ
渡辺靖子インタビューページへ