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篠原 儀治インタビュー

季節の折々に全国の百貨店で開催される伝統工芸展。この催事は、伝統工芸の生き残りに人生をかけた一人の男から始まった。その人こそ、大正4年創業の篠原風鈴本舗会長の篠原儀治さんだ。戦前戦後という激動の時代を駆け抜けた篠原さんだからこそ、「見せる」ことと、「売る」ことの大切さを誰よりも知っている。江戸の伝統を確かに伝えながらも、新しい工夫も絶対に忘れないのが篠原さんの流儀。その揺るぎない背中を、次代を担う職人たちが、熱いまなざしで見つめている。

――いつから風鈴を作っているんですか。
「創業は大正4年です。私の前に4人いるんですよ。江戸時代に旗本のご家人だった桜井氏が始めて、その次に、でこ松。その技を酒井硝子の酒井氏が受継いで、その酒井氏に篠原家の初代となった私の父、篠原又平が弟子入りしたのです」

――風鈴の歴史を教えてください。
「もともとは古代中国で、竹林に玉片をつるして、風向きや音の鳴り方で吉凶を占った占風鐸が起源といわれています。仏教とともに日本へ伝わった銅鐸が風鐸となって各地へ広まり、それがやがて風鈴へと変化していきました。風鈴の名付け親は、鎌倉時代の高僧・法然上人だといわれています。なぜ、このような歴史をたどったのかというと、日本には音の文化があったからなんです。銅鐸や風鐸は音がします。昔はそうした音で悪霊を祓うことができると考えられていました。江戸時代に『ぽっぺん』や風鈴が流行ったのは、そういう意味合いも込められていたのです」

――その頃の風鈴は、どういった物だったんですか。
「江戸時代、最も風鈴が盛んな頃の値段を調べたことがあります。一年に3両があれば生活できた時代に風鈴は5両しました。今でいうと、300万円くらいです。その時代から、風鈴に絵を描いていたのですが、金魚柄はその頃からあります。その次に古いのが椿。花の盛りの時期に、白い椿がぽろりと落ちる様を武士道に取り入れて、『侍は主君の命とあれば椿の花のように潔く散らなくてはならない』ということを教えるために、白椿の花を風鈴に描いたと伝えられています。だから昨年経済産業省の海外に向けた優れた地方産品(The Wonder 500)に認定された『江戸風鈴 椿』は、とても古い柄なんです」


――形はその頃から、丸かったのでしょうか。
「色々な大きさの風鈴を作るようになったのは、私の代からです。一時期は『丸いから風鈴というんじゃねえや』なんていって、三角や四角の風鈴も作ったりもしていました。けれど、あまりいい音はしなかったですね(笑)」

――流行を取り入れた風鈴も作られていますね。
「孫の時代になってから、円谷プロとコラボレーションしたウルトラマンシリーズやサッカー風鈴を作るようになりました。ワールドカップで盛り上がった時期などは、かなり売れました。それで、ここまで伸ばしてきたといえます」

――以前から、新しいことをしていたんですか。
「私が40代の頃、浅草の松屋に職人をずらっと並べて『伝統工芸展』という催事をやりました。そうしたら、松屋の1階から8階までが仲見世みたいに人でいっぱいになってしまって。それからですね、他の百貨店でも『伝統工芸展』をやるようになったのは」



――なぜ、伝統工芸展をやろうと思ったのですか。
「どんなに優れた伝統工芸品であっても、世の中に紹介しないことには誰も購入しません。買ってもらわないことには、職人も飯が喰えないのです。逆にいえば、職人が飯を喰えるようになるということは、その伝統技術や文化が後世に連綿と続いていくということでもあるのです」

――伝統を次世代へ継承するには何が必要だと思いますか。
「それは、職人としての生き様を子どもたちに見せ、夢を持たせることだと思います。私が10歳の頃、映画館で『ターザン』が上映されていました。ジャングルのお話なので、登場人物が皆裸に近い格好でしょ?だから、シャツとパンツを作って売ったら大金持ちになれると思ったんです。今の小学生に、そうした夢を持つ機会があるでしょうか。職人の仕事場を見せるだけではなく、体験を通して伝えることこそが今の子どもたちには必要だと考えています」

――篠原さんにとって風鈴とはなんですか。
「私にとっての風鈴は、自分の夢を広げていくための重要なアイテムです。そういう風に考えると、何ものにも代え難い面白い仕事ですね」

構成:久保田明須香

篠原 儀治(しのはら・よしはる)/

大正13年生まれ
昭和12年頃より父又平に師事
昭和57年 江戸川区登録無形文化財保持者認定
昭和59年 大東京祭功績賞を受賞
昭和60年 江戸川区文化功績賞を受賞
平成元年 東京都優秀技能者(東京マイスター)知事賞受賞
平成16年 名誉都民受称、江戸川区文化賞受賞
平成18年 文部科学大臣賞受賞
平成26年 江戸川区指定無形文化財保持者認定
平成27年 「江戸風鈴 椿」が経産省 The Wonder 500 に認定



江戸風鈴 椿
江戸風鈴 椿

江戸風鈴 椿
江戸風鈴 二色金魚
江戸風鈴 二色金魚

江戸風鈴 二色金魚
江戸風鈴 三色あじさい
江戸風鈴 三色あじさい

江戸風鈴 三色あじさい
江戸風鈴 あさがお
江戸風鈴 あさがお

江戸風鈴 あさがお

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