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新倉綾子インタビュー

和服を着て、日本髪を結った人形のことを日本人形という。一般には、市松人形や衣裳人形を指すことが多い。新倉綾子さんは、日本人形作りの講師を務めながら、毎年1体、自分自身のために、創作人形を作っている。テーマは、祭りで踊る女性から、エレキギターを弾く少女まで、実に幅広い。だが、いずれも日本人形の技が生きている。

――日本人形の歴史を教えてください。
「日本人形といっても、いろいろな種類があります。一般的には、町娘や芸者、武家娘など、華やかな和服を着た衣裳人形を指すことが多いと思います。人形が鑑賞用になったのは、近代に入ってからです。もともと人形は、『ひとがた』といって祭祀に使われていました。つまりは、いけにえの代わりでした。江戸時代は、武家の子女が嫁ぐ際に、人形を婚礼道具として持たせ、人形にその災厄を身代わりさせる役割もあったそうです。それが現代に入り、生活が豊かになると、子どものおもちゃや鑑賞用の置物となり、美術品的な価値も持つようになりました」

――日本人形と創作人形の違いは。
「私は、日本人形を作るのが得意なので、江戸川区の伝統工芸振興会に所属しています。ですが、創作人形は、洋風でも構いませんし、伝統的な技術にこだわる必要も本来はありません。作家の創意工夫に任されています。実際、人形展では、ヨーロッパ風の人形から現代アート風の作品まで、ありとあらゆる種類の人形が出品されています。ただし、製作方法は、日本人形と創作人形では、大きく違います。日本人形は、節句人形やひな人形が典型ですが、専門の職人が顔や面相、ボディーを分業で作ります。これに対して、創作人形は、作家がテーマやポーズを決めて、ボディーから顔、衣裳まで一人で作ります。そのぶん、覚えることも多く、一人前になるまで、最低でも10年はかかります」


――日本人形を作りはじめたきっかけは。
「高校生のころ、フランス人形が日本に入ってきて、人気となりました。浅草橋のあたりに行くと、フランス人形を作る簡単なキットが売っていて、それを買って、組み立てているうちに、人形作りにのめり込んでいきました。高校を卒業してからは、通信教育で人形作りを学んだ後、代々木にある人形作りの専門学校に入って、人形作りを仕事として目指すようになりました。卒業後は、長谷部次郎という人形作家に師事しました。長谷部先生が現役を退いてからは、一人で創作人形を作るようになりました。人形美術協会の師範の資格をとったのは、30歳のときです」

――創作人形作りの工程を教えてください。
「まず、何を作りたいか、どういうシーンにするかを決めます。題材は、源氏物語のような古典からとることもあれば、孫娘がバレエの練習をしているところなど、さまざまです。次に油粘土で人形の原型を作ります。どんな形にするか、ここが一番時間のかかるところです。形が決まったら、方眼紙を使って、桐材に原型の形を写していきます。その後、ノミを使い、桐を彫っていきます。いったん形が決まれば、彫るのは早くて、集中すれば1か月ほどでボディーが完成します。頭は、ボディーの次に作ります。彫り終えたら磨きをかけて、地塗り、中塗り、上塗りの3回に分けて、胡粉を塗ります。紙の毛の色も1本1本筆で描きます。頭を作るのは、最も神経を使う仕事です。最後に着物を着せると完成です。着物はアンティークの着物を使うことが多いですが、イメージに合うものがないときには、絹生地を自分で染めています」



――創作人形の魅力は。
「もの作りの楽しさもありますが、それよりも楽しいのは、『物語』を自分で作れるところです。源氏物語の人形を作るにしても、ただ登場人物をイメージして作るのではなく、どんなシーンで、どんな心情なのか、そこまでを計算して、人形の細かな表情やポーズまでを考える。創作人形とは、いわば映画のワンシーンのようなものです。いまは講師の仕事が忙しく、個展を開くことがなかなかできませんが、将来は、作品を通じて、日本の若い人たちや海外の人にも、日本人形の素晴らしさを伝えていきたいと思っています」

写真:岡村靖子 構成:菅村大全

にいくら・あやこ/

昭和56年 (財)人形美術協会本部教授。
(財)人形美術展入選7回。
(財)人形美術協会功労賞15回。
昭和62年 第1回個展(於:渋谷)。
平成元年 第2回個展(於:渋谷)。
平成3年 第3回個展(於:人形町)。
平成6年 ジャパンフェスティバル-トルコ出品。
平成7年~19年 渓曄会(ケイヨウカイ)人形展に7回出品(於:新宿小田急デパート)。
平成8年 ジャパンフェスティバル-ワシントン出品。
平成10年 ジャパンフェスティバル-ミャンマー出品。
オーストラリアゴスフォード市に人形贈呈(江戸川区より)。
平成18年 江戸川区伝統工芸会会員。
平成20年 第24回伝統工芸人形展初入選。

現在…教室5カ所(江戸川区内は2カ所)

雨あがり(創作木彫布木目込み仕上げ
新倉綾子 代表作
雨あがり(創作木彫布木目込み仕上げ)

桜の季節に花を散らす雨がやっと上がった様子を表現しています。衣装は正絹小紋を着せて仕上げています。
「宇治慕情(薫の君)」
創作人形
「宇治慕情(薫の君)」
「宇治慕情(薫の君)」
「花の色は」
創作人形
「花の色は」
「花の色は」
「白寿」
創作人形
「白寿」
「白寿」
「櫛」
創作人形
「櫛」
「櫛」
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