プライバシーポリシーサイトマップ
トップページへ匠の紹介伝統工芸豆知識えどコレ店長瓦版お問合せ会社概要
草薙惠子インタビュー

友禅染というと、京都や加賀が有名だ。これらの産地では、古くから分業制が確立しており、工程ごとに専門の職人が存在する。これに対して、東京では一人の作り手が、図案から糊付けまで、大半の工程を受け持つ。したがって、職人というよりは、作家の立場に近い。草薙惠子さんも、そんな一人。35年に及ぶ手描き友禅の経験と、女性の感性を生かし、一点物の帯や着物を手がけている。

――なぜ、この道に入られたのでしょう。
「実家は農家で、私は5人兄弟の末っ子として生まれました。染色家を目指す前は、教師になりたくて、大学を目指していました。ところが、大学受験に失敗してしまいました。将来の進路に悩んでいたとき、高校の先生がテキスタイル専門学校があることを教えてくれました。それまで染色にはそれほど興味がなかったのですが、専門学校の創立者が大塚末子さんという有名な着物デザイナーだったことと、絵を描くのがもともと好きだったこともあり、3年間、夜学で通うことにしました」

――そこで、手描き友禅を学ばれた。
「学べたのは基礎だけです。商品を作る技術がないと、問屋さんには相手にされません。絵画は純粋芸術ですが、友禅は工芸です。技術と才能の両輪がないと、食べていけません。そこで、友禅の工房に弟子入りすることにしたのですが、当時は、男性しか弟子にとらないところが多くて、苦労しました。ある個人作家の先生に、3か月間、毎日連絡を取り続けて、やっと弟子入りを許してもらえました」

――修業時代は、どんな苦労がありましたか。
「最初は、先生のそばに座って、作業をずっと見ているだけです。そのうちに、部分的に糸目(下絵の上に糊を置く作業)をひいたり、色を挿したり、させてもらえるようになりました。苦労したのは、先生の仕事の速さに追いつくことです。時間をかけていては、商品は作れないとわかりました。足かけ7年、先生の下で修行をして、それからは自宅で仕事をするようになりました。28歳のときです」


――友禅には、どんな工程があるのですか。
「大きく分けると、下絵、糸目、挿し友禅、伏せ、地染めがあります。京都や加賀などの産地では、それぞれ専門の職人がいますが、東京では、一人の作り手がやっている場合がほとんどです。でも、何より大事なのは、デザイン(図案)です。私は、全工程を一人でやっているので、下絵がまずかったら、糸目のときに調整できます。効率は悪いのですが、自分の世界を表現するには、こちらのほうが好都合です」

――京友禅、加賀友禅と江戸友禅では、デザイン上の違いはありますか。
「大きな違いはありません。しいてあげると、京都は極彩色を使い、華やかな傾向があります。加賀は、加賀の五彩という独自の色づかいがあります。ただ、友禅染作家の作品に限っていうと、様式よりもオリジナリティーを重んじている人が多いように思います」

――草薙さんが描く友禅の特徴は。
「庭に咲いているような身近な花や植物を題材にしたり、伝統柄を自分なりにアレンジすることが多いですね。例えば、植物を描くときは、極限まで無駄な要素を省き、生っぽい色を使わないようにしています。淡い色を使うにしても必ず反対色を入れて、絵柄が引き立つようにしています。そのせいか、『いかにも、草薙さんらしい色ですね』と、いわれることが多いですね」



――作品はどんなところで買えますか。
「着物や帯は、百貨店での展示会が主な販路です。とはいっても、着物の需要は限られていますので、小物も作っています。例えば、友禅染を使って、ハンチング帽を作ったり、墨流し染めという平安時代からある技法でハンカチを染めたりしています。美大の学生さんのアイデアで、墨流し染めの綿布をステッキに巻きつけ、樹脂でコーティングした製品を試作したところ、八ヶ岳倶楽部(俳優の柳生博さんがオーナーのギャラリー)で扱ってもらえるようになりました」

――今後の活動はどのように。
「最終目標は、日本伝統工芸展の本展に入選して、作家活動だけに専念したいと思っています。入選するには、古典的なアレンジでもだめですし、人まねでもいけません。ただし、展覧会の作品を作るには、1年も2年もかかります。その間、生計を立てていくために、売れる商品も定期的に作っていきたいと思っています」

――作家と職人の両立ということですね。
「オリジナリティーを追求することは大切ですが、一方で、作家が作った作品は、独りよがりが多い気がします。着物は本来、女性の顔を引き立てるもの、着る人のパーソナリティーをあらわすものです。ですから、上品に控えめに存在を主張しなければなりません。そこに作家の個性をどう反映させられるか。すごく難しいことですが、そこにチャレンジしていきたいと思っています」

写真:岡村靖子 構成:菅村大全

草薙惠子(くさなぎ・けいこ)/

昭和28年 江戸川区生まれ
昭和51年 大塚末子きもの学院友禅染色研究科卒業
昭和60年 日本染飾作家連盟珠工会展入選
平成5年 江戸川区伝統工芸会入会
平成6年 江戸川区伝統工芸展奨励賞受賞
平成12年 江戸川区伝統工芸展区長賞受賞
平成12年 江戸川区・鶴岡市文化交流作品展出品
平成18年 社団法人日本工芸会伝統工芸新作展初入選
平成18年 江戸川区伝統工芸展教育委員会賞
平成23年 社団法人日本工芸会東日本伝統工芸展入選
平成26年 江戸川区伝統工芸展教育委員会賞
平成26年 社団法人日本工芸会東日本伝統工芸展入選
平成28年 社団法人日本工芸会東日本伝統工芸展入選




染色とは…

染料のもつ染着性を利用して繊維を好みの色や模様に着色します。染色は繊維の種類によって、それぞれに適した染料、染色法があります。 マーブル(大理石の意)染めは、わが国では墨流し染めと呼ばれ、平安時代より歌集や経典の料紙を飾る古い歴史のある工芸です。
草薙さんは、このマーブル染めの技法を駆使していくつかの素敵なファッションアイテムなどを開発しています。江戸川伝統工芸産学公プロジェクトにも参画した結果、代表作の一つ・マーブルステッキが制作されました。マーブル染めは一点一点墨流しの技法を使って染め上げますから全て1点ものとなります。手作りの温もりが溢れるアイテムが生まれています。
その中のマーブルネクタイが5月7日から公開される秋原正俊監督「ルパンの奇巌城」でも使用されています。俳優の北野常安さんが結婚式シーンでモノトーンのマーブル染めネクタイとチーフを見事に着こなされています。このモノトーンの作品は一般の方も披露宴などで着用され、従来のタイとはひと味違ったデザインで周りの方からも評判がよいと感謝のコメントを頂戴しています。
映画「ルパンの奇巌城」は江戸川区の船堀シネパル他のシアターで5月7日公開が決定しています。是非ご覧下さい。草薙さんは染色の技術を使って更に新たな商品を開発中と伺っています。発表の日を楽しみにしております。

マーブルステッキ
草薙惠子 代表作 マーブルステッキ
水面に浮かぶ色模様を一枚ずつ手染めした布を、手巻したオリジナルステッキ。ステッキとペアの携帯用袋とストラップもすべて手染めで仕上げられています。

細部まで使う方への思いがこもったこだわりの一品です。

草薙さんと美大生(東京造形大学 井草有香さん)の新鮮なデザイン感覚から生み出されたコラボレーション作品です。
足元美人 秋(萩)
着物用スリッパ
足元美人 秋(萩)
足元美人 秋(萩)
墨流し染めハンカチーフ
墨流し染め
ハンカチーフ
墨流し染めハンカチーフ
マーブルポケットチーフ
マーブルポケットチーフ
≪シルク≫
マーブルポケットチーフ
バッグハンガー&バッグチャーム
バッグハンガー&
バッグチャーム
バッグハンガー&バッグチャーム

.

草薙惠子の作品を購入する
草薙惠子についてのお問合せ

えどコレマイスタートップへ

新井克己インタビューページへ
石井恒夫インタビューページへ
一ノ谷禎一インタビューページへ
奥田禄郎インタビューページへ
草薙惠子インタビューページへ
後藤明良インタビューページへ
笹谷義則インタビューページへ
篠原儀治インタビューページへ
篠原由香利インタビューページへ
高橋栄一インタビューページへ
高橋英雄インタビューページへ
田中松夫インタビューページへ
中村弘子インタビューページへ
新倉綾子インタビューページへ
八角仁代インタビューページへ
林理子インタビューページへ
林信弘インタビューページへ
深野晃正インタビューページへ
松井宏インタビューページへ
山川英インタビューページへ
山口敦雄インタビューページへ
山富繁子インタビューページへ
渡辺靖子インタビューページへ